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デヴィーアリサイタル  

何にでも興味を持ったり、好きになるきっかけとタイミングがある。
その時には必ず、ああ、もう少し早く好きになっていれば、もう少し早くに知っていれば・・と後悔するのもつきもの。

今の私はまさにそんなタイミングで、オペラにのめりこみそうになっています。
というか、なってるか。。

NYに頻繁に行くようになって10年ほど。この間もしコンスタントにMETに通っていればどれほどの素敵な公演を見られたかもしれないし、スターたちのデビュー時期から見続けることもできたはず。
日本での来日公演も同じ。これは高くて行けなかったかも知れないけど、それにしても。。

とはいえ、興味がない時にはどれほどの素晴らしいものを観てもヌカに釘、暖簾に腕押し、ネコに小判、豚に真珠・・(笑)
実際わりと早くからオペラ公演を観る機会はあったし、TVで観ることももちろんあり、旅先で劇場に行くこともあったけど大半は寝てた・・苦笑。
豪華さや訓練されたスターたちの歌声に度肝を抜かれることはあっても、本当の意味で面白い!と思うことはありませんでした。2009年までは・・。

ここが転機。
完全に目の前が開けた感じ。5時間近いような演目でも眠くなることはなくなりました。長い時間の中でそりゃ退屈することも集中力が途切れることもある、思わずう~んと唸りたくなるようなこともあるけれど、それも含めて楽しめるようになりました。

で、もっと早くに転機が来ていれば・・と思いつつ、今のタイミングで観られる、聴けるチャンスは出来るだけ逃さないように・・と出かけて行ったのが「マリエッラ・デヴィーア」のリサイタルです。
御歳62歳。
オペラ歌手のキャリアで行くとそろそろ引退かな~というタイミングで、せいぜいリサイタルを過去の栄光にすがってというのが一般的なイメージ。

今現役で全幕物の舞台に立ち、若いころとそう変わらないテクニックと歌声を披露してくれるスーパースター級の歌手だとさらに少し上のグルベローヴァがいますが双璧をなすのがデヴィーアなんだそうです。
お互いにレパートリーも似ている。声質はCDやYou tubeなどを聴く限りですが、グルベローヴァがやや硬くて金属的、そして華やかさを兼ね備えた感じで、デヴィーアはもう少し柔らかくふわっと包み込むような、それでいて少し影のある感じがします。

デヴィーアは40歳を過ぎてからキャリアのピークがきたそうで、この開花時期が遅かったことが功を奏し、そして無理に声に合わないレパートリーを歌うことなく着実に歩いてきたおかげで、還暦を超えた今もまだ美しい声が残っていました。

近くで観ると、あら、ま~,な おばあさんではありますが^^;、それは当然のこと。
ただ少し遠目からみて声を聴く限りでは30代の歌手が歌っているのかと思うほどの美しさとツヤがあります。
そして激情型の歌い方ではない、本当に楽器よりも正確なピッチで細かな装飾音や音階を素晴らしく滑らかに歌い切ります。高音だって涼しい顔。
よ~く聴くと、ところどころガサっとする音が響いたりしますがそれも年齢を考えたら全然普通。というかもっと若い人たちでももっともっともっと粗い人も大勢いますからね。

そんなこんなで、エンジンのかかった歌声できいたロミオ&ジュリエットの私は夢に生きたいや、ノルマの~清らかな女神よ~あの愛に満ちた日々が取り戻せるなら~、またアンコールで歌ってくれた(本当ならプッチーニには声が軽すぎるんでしょうけど)トスカ~歌に生き、恋に生きの素晴らしかったこと、最後のつばめのアリア~ドレッタの夢の美しかったこと。

とても感激しました。
その一方で、やっぱり私はただ美しく歌うだけではない、激情型タイプが好きだな、ということも認識しました。

がっかりポイント。
感激ばかりしたわけではありません。
まずアンコールのつばめ以外、すべて楽譜を置き、めくりながら歌っていたこと(トスカでさえ、もです)。
これはいただけません。
突然呼ばれたガラのようなものなら致し方ないとも言えますが、ご本人のリサイタル。いくら御歳を召したからとはいえ、現役バリバリの方は譜面置いちゃいけません
このせいで、すっと入っていけるはず歌の世界に壁を感じました。私は途中からほとんどステージ上を見ずに会館を見渡し、声のみを聴いていました。またピアニストの方の譜面をめくる音、大きすぎます。ダメ。

そしてさらにがっかりポイント。
サイン会にて。私に害があったわけじゃないけれど、私の前の女性が当日購入した彼女のCDにサインをもらおうと渡すと、しばらくしげしげと眺めた後、そのブックレットを机の上に放り投げました。
イタリア語でなんとかかんとか言ってたみたいですが、どうやら「これに私はでていない!!」というお怒りの様子。女性たじたじ・・・。出演作品と聞いて買っていたからです。
これはデヴィーアのせいというより、販売した側に問題があるのですが(調べたところ、ちゃんと出演作品だったそうです、なんかジャケットが変更になった・・とか???)、この会場で買っていてこれに、、と差し出すファンにサインどころか受け取ったものを放り投げるとはこれいかに。。

さすがイタリアン。なんかMETで会ったうるさいおばはんたちを思い出しました。

締めの印象が悪いので、観て聞いてよかった。けどこれでもういいか、という気分です。



人生のピークをどうするか、どこに持ってくるか、いくつにするか、、寿命はわからないけれど、わからないものは平均的なところで考えるとして。
どんな職業であっても、若くて周りからちやほやされている時期にそれに載せられて調子づくのではなく、そういう時こそ足元をしっかり見つめ、先を見つめ、太く長く、人生の晩年にピークがくるように準備をする。
若い時にはその時のよさがあり、人生を経験した年数が長ければ長いほど様々なことが加算される。哀しいとか苦しいとか辛いとか、人生いろいろ。笑っていられることばかりじゃないから、笑える時が幸せに思える。当たり前の毎日に感謝できる。
それがどれほど大事なことか・・それによって晩年が晩年じゃなくなるし、きっと充実した人生ということになるんだろうな、、ということをしみじみ考えた夜。

今、聴けて良かった。見逃さなくてよかったです。
秋にはもう一人グルベローヴァも来日しますから、こちらも楽しみです。

■マリエッラ・デヴィーア ソプラノ・リサイタル
 
トスティ:『夢』
ショパン:『小鳥』
ビゼー:《真珠採り》~ “いつかのような暗い夜に”
リスト:もし美しい芝生だったら/ローレライ
~休憩~
グノー:《ロメオとジュリエット》~ “私は夢に生きたい”
ロッシーニ:《タンクレーディ》~ “恭しく崇める正義の神様”
ベッリーニ:《ノルマ》~ “あの愛に満ちた日々が取り戻せるなら”
ドニゼッティ:《ルクレツィア・ボルジア》~“何てきれいな・・・”
ヴェルディ:《シチリアの晩鐘》~ “アッリーゴよ、ああ!心に語れ”
     :《シチリアの晩鐘》~ “ありがとう、愛する友よ”
[アンコール]
プッチーニ:《トスカ》~“歌に生き、恋に生き”
プッチーニ:《つばめ》~“ドレッタの夢”
 
 2011年7月4日 東京オペラシティ タケミツホール



プログラムでは予定されていルチア(違う曲ですが)。残念ながら変更になっていまい聴けなかったですが、素晴らしい歌声です。ダムラウともデセイとも全く違うルチアです。
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