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バイエルン国立歌劇場来日公演 [ロベルト・デヴェリュー]  

エリザベス1世時代の話なのに、全員スーツ着て登場するし、セットは薄暗い会社内の様相だし、これこそ主役が来日しなければ見る意味ない、と思っていた私は本当に来日しました!の報を聞くまでチケットを購入できずじっと我慢。招へい元から「元気に来日しました!」というツイートと写真をみてようやく購入です。

1週間前からはガラリと空気が入れ替わり、すっかり秋の爽やかさを満喫できる1日となりました。地元だし爽やかだし・・笑、朝から気分がよい!
キャスト変更があった他の来日公演では無料配布してくれたプログラムですが、本日は有料です。そういえば昨年のROHも大幅変更があったのに有料だったっけ・・。
3階席をぐるりと見回すと、サイドはだいぶ空席が多いですが思ったよりは入っている印象です。もっともっとガラガラかと思いました(下はわかりません・・)。杖をついていらっしゃる方々も多く、長いことファンなのか地元だからこられたかそんな雰囲気です。

開演前の携帯オフにしてね、などというアナウンスが妙に息の漏れる抒情的な話し方にひとり苦笑。今日の公演は主役のグルベローヴァは予定通り登場ですが、タイトルのロベルト・デヴェリュー役はホセ・ブロスからぐっと若いアレクセイ・ドルゴフ(MET来日公演のルチアでも1日のためだけに来日。その時は見られなかったので実は喜びました!!)に変更、公爵がチェッコリーニに、召使がボルチェフに変更になりました。男性陣総崩れですよ、全く。靭帯がどうしたとか、中耳炎になったとか、抜歯したところがどうのとか・・。せいぜいお大事になさってください(棒)。

オケピをのぞくとスカスカにみえますが、本来の人数なのか詳細はわかりません。そういえば直前に団員約100名が来日拒否したという記事が新聞にでていましたが、私にしてみれば何を今更・・・な情報でした(少し前のエントリーでも書いたし)。何か作為的な悪意を感じますよ、そんな情報、7月頃からネット上には地元新聞の記事で話題になっていましたから。ま、歌劇場の総裁がMET総裁に対抗して(?)絶対来日します!なんて宣言しちゃったから原発事故に敏感なドイツ人は困ったことでしょう。これについては何もコメントできません。
指揮はグルベローヴァの元旦那ハイダーです。

もう本当に、本当に素晴らしかったです。
息苦しくなってぐったり疲れるほど舞台に集中しました。こういう舞台を見たかった!!
盛大にBrava!!Bravi!!と叫びましたよ。もう精一杯の拍手だけでは物足りない、私の気持ちは表せないので、素晴らしい舞台をありがとう、素晴らしい歌をありがとうの感謝の気持ちを言葉とともに精一杯伝えました。

64歳になってなお現役のソプラノのグルベローヴァ。
私は今回初めてナマで聴きましたが、気づけばCDなどはそれなりに持っていて聴きなじんだ声です。これまでどちらかというと硬質な声に完全無欠の技巧派ディーヴァという印象があり、それだけで堪能できるものと、うーむ、もう少し情熱的に歌ってほしいなぁ、、と思うものがありました。
この日、第一声が聴こえた瞬間、ああ、この声は健在なのね!とまずは感激。
が、現役なので年齢に関係なく聴こえてきたことを正直に書くとすると、1幕はじめは恐らく自分の声の聞こえ方とか会場への響き方を確認しながらだったようでコントロールが定まらない感じで声も出しにくそう、凄くキレイに聴こえる部分と、ありゃ?みたいなのが交互にやってくる、さらには完全無欠のピッチも緩く、高音も上がり切らないところもありでした。

・・がーー!!
そんなこと当然なんですよ、いいんです、64歳ですから。あと2か月で65歳ですよ!このくらいのお歳になれば、ほとんどが昔の名前でリサイタルくらいになってくるのに、今だなお現役で全幕ものの主役を張るんですから、、少々ピッチが甘いだの高音がきついだの、声が出にくいなんてことは当たり前だしもっと若い世代の人でももっと甘アマな人は山ほどいますから、この声を維持し、「少々」くらいで歌えていることに驚愕です。

近頃の演出によくある飛んだり跳ねたり寝転んだり踊ったり持ち上げられたり、、という派手な動きはなくて、歌いながらただ歩く姿ですらなんかロボットみたいな不自然さで手を上げ下げするものぎこちないくらい動きで芝居らしいことはしないけど、もうそこでじっとしてて下さっていいですから!といいたくなるくらい、完全に「歌」でストーリーを描きます。「歌」で愛情も嫉妬も悲哀もガツンと伝わってきます。会場の空気を変えられるのです。
キーを下げることなく果敢に高音にチャレンジする姿、ほとんど歌いっぱなしのような状態で最後まで声が荒れることもなく、だんだんピッチがあい、テクニックは現役歌手のほとんど誰も敵わない正確さを持ち合わせ、独特の硬い声も経験を積んだ魂が加わり、、、、幕が進むにつれ胸が締め付けられるような、息ができなくなるような感覚に陥りました。1・2幕は休憩がなく100分ありますが、本当にあっという間でした。息をするのを忘れたか・と思うほど休憩になったとたんにぐったり。
その後の3幕は物語が一気に進みますからますます前のめりに。
王位を譲る決意をしたあとの歌唱には鳥肌どころか凄すぎて涙まで出てくる。凄いものを聴かせてもらいました。
舞台上の存在感、女社長になったエリザベッタですが、社長というよりまさに女王の貫禄。
その上でなお若者に熱をあげてしまう乙女な雰囲気も醸し出すんですから。舞台で主役を張る人はこうでなくてはならない!というまさにお手本です。

これぞオペラの醍醐味。
これだよ、これ。こういうのを聴きたかった。日々の努力の積み重ね、人生経験の積み重ねが見事に融合したプロフェッショナルな歌を聴きたかったのですよ。ああ、なんて幸せな瞬間。
目で姿を追いながら感じる不自然な感じは事実としてあっても、頭も体も心も言葉で表せない集中力ですべてを受け入れていてグルベローヴァに愛おしさを感じるのです。ステキ、素敵と。デヴィーアを聴いた時にも感じましたが、人生やキャリアの後半にこういう姿でいられるとはなんと素晴らしいことか、人気や若さに溺れてはいけないことを痛感させられ、歳を重ねることが素晴らしいと思える体験でした。

女王が愛する若者ロベルトのドルゴフ君。長身で写真よりずっとイケメン 笑、ルチアのエドガルドを観た人たちからとても好評だったのでこんなに早く聴けるなんて!とワクワクしました。まだ20代??スケジュールをみたらモスクワで別の舞台の予定があったみたいですが・・わざわざどうもありがとう(感激)。
大ベテランの女王に対して若い、本当に若い!声も演技も若いです。若いなりに情熱的で一生懸命に歌うので好感が持てます。ちょっとメーリに似てる声かな?甘くもなくごっつくもなく美声というのとは少し違いますが、まっすぐで溌剌とした声でもっともっと緊張してるかと思ったけれど、それほど硬い、という印象はなく、不安定でもなかったので度胸もありそうです。若い子が一生懸命なのには私は相当甘いので(手抜きは許さんがw)、のびのび、溌剌としたや動き、表現が女王の悲哀を惹きたてるので、彼でよかったのだと思います。別の人を愛しているでしょ?と迫られてうすら笑いを浮かべたり、やけっぱちになって荒れたりする様子がロベルトそのものな感じ!

サラ役のガナッシも最初こそ定まらない感じでしたが、彼女はふくよかで温かい声を持っていて魅力的。情熱的な歌いっぷりにほれぼれしました。そういえばロベルトに渡すスカーフに刺繍をするときに老眼鏡と思わしきものをかけるのが、一体年齢設定は・・と思わざるを得ませんでしたが・・^^;。これだけみるとロベルトは熟女好みってことですね 笑。

オケや合唱のみなさんもさすがのサポート。正直オケがどうの、と気にすることなく舞台そのものに引き込まれていたのですが、ありゃ?とかうーむ、と思うようなことは一度もなかったです。今回の公演を聴きながら、やっぱり私はキレイに美しく歌うだけでない、聴くだけでワクワクしたりゾクゾクとするような歌唱を披露してくれる歌手が好きなんだなと改めて思いました。
会場を包む割れんばかりの拍手と喝采、大声援、とにかく本当に観て良かった。

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■バイエルン国立歌劇場来日公演「ロベルト・デヴェリュー」
指揮:フリードリッヒ・ハイダー
演出:クリストフ・ロイ
出演者:エリザベッタ:エディタ・グルベローヴァ
ロベルト・デヴェリュー:アレクセイ・ドルゴフ
ノッティンガム公爵:デヴィッド・チェッコーニ
サラ:ソニア・ガナッシ
セシル卿:フランチェスコ・ペトロッツィ
グアルティエロ・ローリー卿:スティーヴン・ヒュームズ
ロベルトの召使:ニコライ・ボルチェフ

■2011年9月23日(金)15:00開演~17:50頃終演
 1・2幕:15:00-16:40 (休憩30分)
 3幕:17:10-17:50
■神奈川県民ホール
■3F-C2列 (プレエコさらに値下げ価格で♪)
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コメント

もうホント、すんばらしかったですね~!
ちょうど「まだ心底オペラで入り込むような感覚になったことないかも~」とか、お話した直後の舞台であんなことになるとは。こういう舞台を観てしまったら、またこの感覚を求めてしまうんだろうな~。ああ、ますます舞台中毒が重症に(笑)。

aya #fdGsTRjY | URL
2011/09/26 08:55 | edit

ayaさん

お返事したつもりが、、消えていました。ごめんなさい!

いや~、すばらしかったですね、本当に。
歌と芝居を何となく切り離して見てしまう、、と言ってたことを私も思いだしました。私もずっとそうだったから、それが重なる舞台を観てしまうとそこから一気に奈落・・ではなく、オペラ沼に落ちてしまいます(笑)。
嬉しいような、困ったような・・。
でも人生そう長くないですから、こんな幸せな感覚を味わえるなら目いっぱいハマってしまいましょう。ま、そうそう、そんな舞台に巡り合わない事も承知の上ですけどね^^;

nanamayu #- | URL
2011/09/28 09:39 | edit

釣られて?予定になかった27日に行って来ちゃいました。
ドルゴフ、良かったですよね。
自信満々で女王の寵愛を受ける図々しさがピッタリでした。
現代劇の雰囲気ながらも、安っぽくならずここまで見せるのはやはりグル様の力だと思います。
DVDをこの演出で何十回も見続けてただけに感無量でしたわー
さ、もう一回!

さちえ #1olHiW.o | URL
2011/09/29 00:52 | edit

さちえさん

釣られてよかったでしょ~笑。
最初にはまったもの(しかもそのご本人登場!)なら1回なんてもったいない。せっかくの機会だから2回でも3回でも時間の許す限りいっていただきたい!!と思って大きな釣り針たらしてみました^^。
実演を観られる機会って日本にいるとそう何回もないし、さらにグル様の場合は・・・・。
私は思い入れも何もない作品だけど、観られて良かったし聴けて良かった。さらにはこれからの活躍を期待したいお気に入り~テノール発見と嬉しい舞台でした♪

nanamayu #- | URL
2011/10/02 20:00 | edit

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