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マリインスキー管弦楽団「ランメルモールのルチア」(演奏会形式)  

映画館やテレビで観た幾つかの彼女の歌う作品の中でもし願いが叶うなら是非これを!と思っていたのが今日まさに聴けた。
演奏会形式だったけど、間に合って良かった!聴けて良かった。

歌う女優と言われるデセイは声帯の手術を3回していて、このところまた不調なことが多く、また彼女の声の質と年齢を考えると歌える役が少なくなってきたということで近い将来舞台から降りるような発言を聞くようになりました。

最近聞いていた声の中ではかなり良い部類に入ると思うけど、それでもギリギリ、ギリギリ精いっぱい。
時々かすれたりざらついたり、咳込んだり・・。
そんな状態でも、ふわっと軽く、繊細で、全身全霊の魂を込めた歌唱に、衣装もセットもないのに、ただ楽譜をめくりながら歌うだけなのに、ルチアが乗り移り、魂が揺れ動く、私自身も自分がどこにいるのかわからなくなるようなそんな感覚になりました。

グラスハーモニカ(本当にグラスに水がはいっています)という深く繊細な響きが特徴の楽器との掛け合いである狂乱の場。
・・・言葉がありません・・。

感動したとか、凄かったという何かを感じる前に、ここはこういう♪とか、こういう考えで歌ってるのかな、という思考を超えて、デセイのルチアは涙腺を攻撃。
頬を涙が伝わるのを自分で気づいてびっくりする、という連続でした。

心が震える、、という瞬間です。

不調でも決して手を抜かないし、今できる最大限の力でチャレンジした高音はぶれることなくピタリ。
こういう歌を聴けると心から感謝したくなります。

音楽が進むにつれ、自分の登場シーンが近づくにつれ役に入っていく様子が手に取るようにわかります。
表情だけでなく呼吸が浅くなり早くなる。
自分のシーンが終わった後も最後まで役として存在していた。
出来ることならば衣装もセットもある中でみたかったけれど、無くてもこれだけの表現ができる素晴らしさを目の当たりにして、間に合ってよかった・・としみじみ思いました。









2007年9月METのオープニング作品だった時のデセイの「狂乱の場」
背筋が凍る本当に怖い憑依のルチア。あああ、時の流れを恨めしく思う。

***
席は上手より前から4列目。普段なら絶対に選ばない場所です。
音や出演者をバランスよく楽しむにはまるで向かないから、、でもあえてここを選んだのは、目当てのナタリーデセイの様子を間近で観たかったから。

こんな前だったので、バランスとか響きとかオケが・・なんて言えないのですが、そこで聴いたその他の感想も記憶の一助として。

全体の印象は(特に1部のオケ)、少し準備不足なのでは?と。本当に信じられない多忙な公演スケジュールなのできちんとリハをする時間はないのではないかしら?
冒頭はバラバラに聞こえ、なんとなく覇気がない、コーラスは安定の新国立歌劇場合唱団なので素晴らしいですけどそれでも何か物足りなく聞こえました。もったいない。

ゲルギエフの指揮はドラマティック。まとまりがないように感じつつもドラマとして際立たせ、歌手を気遣う様子と、身振りが小さかったことに妙に感心してしまいました。時折ありえない高速ぶりに、よく合唱もオケもついていったな~と(^^ゞ。
でもこのドラマティックは、近頃勉強した「ベルカント・オペラ」としてとらえた場合にどうなんだろうか??と頭が混乱することも・・。

デセイとマリインスキーのアンバランスさ。不思議でした。

デセイ以外のキャストはマリインスキーで良く歌っているハウス歌手のような人たちですが、オペラは容姿ではない、を改めて感じることに^^。
もちろん目に麗しいにこしたことはないけれど、何よりも声が、表現が全てであると思い知らされました。
何度も書きますがこんな前で全幕ものをみることはそうなく、しかもオペラなら普通衣装やヅラ、化粧をするので、見事にそれに化けることができます。ま~体型はごまかせませんが、大目にみることもできちゃいます。

登場した瞬間から役になりきっていたルチアの兄エンリーコを歌ったスリムスキーの素晴らしかったこと。アンダーのアンダーで急きょ来日したエドガルドのアキーモフの甘い声、あまりに時間がなく急すぎたせいか準備不足だったと思うし、世界のデセイと歌えることで舞い上がって力んでいた様子もうかがえたけど、全力投球で歌う様子には好感が持てました。最後は息切れしてたけど。
一人はスキンヘッド、一人は足元が見えないほどの太鼓腹、もう一人は電柱のように細い棒のような・・(笑)、総じてロシアンマフィアみたいな風貌で、オケに負けず爆音系で粗かったけどでも全然問題なしです。目はハートにはなりませんが耳にはご褒美です。

平日夜、会場がいくら会社から数分のところにあるからといっても、オペラを観るには気力体力を保つのがなかなか難しい。
ギリギリで梅昆布うどんを流し込んで駆け込み、当日券も出ない完売状態のホールに到着。同じように仕事帰りに駆け込んだであろうスーツ族もたくさん、改めてオペラ好きは男性が多いのねーと実感する。

デセイは小さくて華奢、日本人と混ざっても小柄で、オペラ歌手によくある細いけど胸板が厚いこともない。
それでいてあの歌唱ですから・・、相当訓練された結果だと思うけどそれでも相当の負担もかかりそうだな、と思ってしまう。

素敵なドレスに身を包みチラッとみえるスリットからピンヒールのバックベルトのバンプス、あの靴でオペラ、しかも狂乱の場(ソプラノ一人で15分近く歌う場面)があるのに、、とその様子にびっくり。

終演後、ノドがカラカラでぐったり。
ルチアの魂にとりつかれたか・・。

いい時間でした。


■2010年9月サンクトペテルブルグでの公演を収録したCD発売中
「ランメルモールのルチア」
ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場歌劇管弦楽団
ナタリー・デセイ、ベチャワ、スリムスキー、バンニク・・今回の来日とベチャワ以外は同じです!



■2012年11月12日(月)
ランメルモールのルチア 演奏会形式

作曲:ドニゼッティ
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演奏:マリインスキー歌劇場管弦楽団

出演者:
ルチア:ナタリー・デセイ(ソプラノ)
エンリーコ:ウラジスラフ・スリムスキー(バリトン)
エドガルド:エフゲニー・アキーモフ(テノール)
アルトゥーロ:ディミトリー・ヴォロパエフ(テノール)
ライモンド:イリヤ・バンニク(バス)
アリーサ:ジャンナ・ドムブロフスカヤ(メゾ・ソプラノ)
ノルマンノ:水口聡(テノール) 

グラス・ハーモニカ:サッシャ・レッカート
合唱:新国立劇場合唱団

1部:1幕1場~2幕2場
休憩 25分
2部:2幕3場~

19時~21:50

■1F4列右
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