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Metropolitan Opera 「Maria Stuarda 」  

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1年の締めくくり、大晦日はメトロポリタンオペラでオペラ鑑賞。
こんなスペシャルなイベントも4回目となりました。今年も天気は晴れ、冷えるとはいえなんとか耐えられる。
今年もMET初演、初日のNew Year's Eve Galaなので自分としては1年に1度のハレの日。
すったもんだの末無事到着した真っ赤なドレスにシルバーのヒール(現地調達 笑)にしてみました。赤にしたのは今回の演目はなんといっても「赤」がキーになるからです。


このオペラは2011年7月にHDD放置作品消化とばかりに見て、その時主役のテヴィーアの歌唱に驚いた時に初めて知り、いつか見たいなと思っていたものです。こんなに早く実現するとは!
しかし今回の主役はメゾ・ソプラノのディドナートです。私は彼女の明るく優しげな声が大好きで、去年の大晦日も彼女を聴いています。しかし超人ソプラノのテヴィーアとディドナートでは音域も声も違いすぎる!さらに予習で聴いたCDはこちらも超人ソプラノのグルベローヴァ。METの前にすでにヒューストングランドで同役を歌っていたディドナートをYou Tubeで聴いたのですが、二人のソプラノに耳馴染むと高音がないだけでもなんだか、むむむ・・・・という感じ。なんか期待と不安が入り混じる気持ちでした。
事前にみたスカラのHDDでロベルトだったメーリはMETでもキャスティングされていたけれど早時期に降板。


ミラノ・スカラ座「マリア・スゥトアルダ」マリア:テヴィーア


Maria Stuarda マリア:グルベローヴァ

予習音源。どちらのマリアも顔見るとおっかないです・・(^^ゞ

ま、そういうことがあったとしてもワクワク。劇場はとっても華やか。席につくと、隣の席にいたおばあさまに「Welcome my seat !」と迎えていただきました。大晦日のこのボックス席前列を27年持ち続けているようで、その1席を寄付してくださったそう。ありがとうございますm(__)m。ま、偶然この席があったんですけど。
で、Partreは過去にも座ったことがありますが、大晦日は初めて。ここホントに特別席(階)なんですね。正面のボックスはボックス単位でしか買えず大富豪の皆さんがこれでもかー!のドレスアップ状態、サイドボックスは場所によっては手ごろですけど、それでも特別で、休憩時間にはこの階のチケットがあるか、パトロンしかここには入れなくなります。そしてそれさえあればワインやらつまみらが無料でふるまわれるという・・。素敵はパトロン様たちにまじって少しだけお話したりして、ハレの日が一段と華やかになりました。
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肝心な公演ですが、、これが本当に良かった、素晴らしかったです!
チューダー三部作(昨年のアンナ・ボレーナ、今作のマリア・ストゥアルダ、来年以降予定のロベルト・デヴェリュー)はMETではすべて同じ演出家によるもので、前作は非常に細部にまで神経を使ったものだったものの劇場向きではないな、と思った記憶とは違い、これは十分に連続の意図を感じるものでありながら、もっとシンプルで余計なものをそぎ落としていて、とても見やすくわかりやすくなっていました。
たとえば、下の写真は最後にマリアが断頭台に向かう場面の写真ですが、この処刑人はアンナ・ボレーナの時にも最後の最後に登場した象徴的な場面につながり、ああ、なるほど!と思えます。
ドニゼッティの音楽も随所に三部作を彷彿とさせるメロデイが使われているのでその辺りも合わせて納得感につながるのですね。

基本的にモノトーンのセットと衣装ですが、思った通り「赤」を二人の女性が象徴的に着ています。エリザベッタは幕あき冒頭、マリアは最後の処刑に向かう場に、です。
史実でも赤のドレスで処刑台に向かったとされているので、全ての歌が終わりそれまで着ていた黒の衣装を脱ぎロングヘアのカツラをとり、赤のドレスになったここは、もっとも印象的だったところです。
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名前も声も全然知らなかったエリザベッタのヴァン・デン・ヒーヴァーはこの日がメトデビューなのに、そんなに緊張しているように感じないうえに美しく均整のとれた声を聴かせてくれました。
登場してすぐになんだか荒々しい、一歩間違えれば下品な感じもするし、コメディか?とも思えてしまうような所作でドタドタと歩きまわりながら歌うのでびっくりしたのですが(実際緊迫した場面でもMETのお客さんは自由なので笑いが起きたりするのですよ・・)、声は綺麗なままエリザベッタの男勝りな部分を歌としてもしっかり表現されていて説得力がありました。
高音までびしーっと決まり、この日初めて聞いたはずの多くの観客は驚きの大歓声!
こういう、人気歌手への賛辞ではなく、驚きに対して素直な感情の賛辞の場にいられるというのがまた至福の時なのですね~。一気に劇場内の温度があがるし、私自身の興奮してきます♪。
最後までまったくぶれることなく素晴らしい歌唱と演技力を披露し、ビシビシと高音を決めていたヴァン・デン・ヒーヴァー、堂々としたMETデビュー、また聴ける機会を楽しみにしています。

※2月にライブビューイングがありますがその録画日の放送をラジオで聴いていたところ、役作りについてヴァン・デン・ビーヴァーとディドナートがインタビューに答えていました。エリザベッタを普通の女王として演じていたところ演出家に思い切りNO!と言われたんだそう^^。彼女は「He said, "No!", "No!”」とかなり何度もだめだしされた、と答えていました(笑)。ディドナートのマリアも演出家の意向が相当あるようで、エリザベッタとのコントラストを強調して・・と言っていました。やはりこのあたりは演出家次第で、またこれを受け入れられるかどうかは観客次第、ということなのでしょうね。(2013.1.19)

そしてひいきのディドナート。
さんざんツイッターにはあれこれ書いてますが、柔らかくて温かい声と劇場の空気を包み込むような響きが本当に素敵です。メゾなので、当然超高音は出さないし、弱いので、ああ、ここでテヴィーアのような高音があれば・・と最初は思ったのですが、途中からはそれを感じさせない彼女独自のマリア像で、エリザベッタの男勝りとコントラストのはっきりした女性らしさ、かわいらしさを強調した所作、自身の女王としてのプライドや確固とした考えを信じ切っている様子、そして後半処刑が決まった後はそのプライドをもったまま死の恐怖と闘うような様子(2幕はずっと小刻みに震えながらすすんでいきます)にどんどん引き込まれていき、表現や演技のうまさに心が震え、一緒に震えてきて涙がでてきました。

正確なピッチと丁寧な音の扱い、美しいベルカント、絶妙なコントロールと表現力、渾身の舞台・・
確かマリアが処刑されたのが40代中盤、ディドナートも私も同年代と考えると、身につまされるというか、等身大の感覚が胸に突き刺さったのもあるかも。

こんな素晴らしい演技力と歌唱を持った女性二人の対決場面は、緊張感にあふれ思わず息をのみます。
ああ、これぞオペラの醍醐味。

男性陣も安定のうまさで、ポレンザーニのレスター伯も見た目は老齢でも(^^ゞ、しっかり支えてくれていました。ドニゼッティはこういう悲劇的な場面にもメジャー進行の音楽をつけるのでまたより悲劇が強調される気も。

オペラを何となく見ていたころ、高音を張り上げる様子や衣装やセットの豪華さといった表面的なものにすごいな~と思っていて、それがオペラだわと思っていたのだけど(苦笑)、オペラを観て泣く、全身がふるえるという体験をしてからそれまでの印象とは全く変わりました。そして、オペラは演目も大事だけど演目だけで選んではいけない!やっぱり歌手の力(それもできるだけ旬の)が心底感動するには大きな要素を占めるんだわ、という実感を新たにしました。

オペラに限らず、エンタメは毎回大感動することばかりじゃないけれど、こういう公演があるからやめられない。今は本当にオペラが楽しい!やっぱり劇場で聴けるのが最大の喜びだわ、、。

**あまりに感動したので、4日にもう一度同じ公演にいってしまいました。
この日はロベルト(レスター伯)のポレンザーニが降板で、この日メトデビューのテノールに変更。こういうキャンセル、代役もまたオペラ・・・泣

■2012.12.31 Metropolitan Opera
Maria Stuarda
Joyce DiDonato (Maria Stuarda)
Elza van den Heever (Elisabetta)
Matthew Polenzani (Roberto)
Matthew Rose (Giorgio / George Talbot)
Joshua Hopkins (Guglielmo / William Cecil
Maria Zifchak (Anna )

Conductor: Maurizio Benini
Production: David McVicar
Partre Side Box1
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